放送局123号受信機の修理(2018年9月13日)

シャーシ 内部の様子です。
整備済み品を購入したが 雑音が酷いと言うことで持ち込まれたもの。
分解してみると 回路的にはほとんど間違いがありません、小さな間違いが1箇所あっただけです。
ただ驚くことに古いコンデンサーが沢山残されているのです。
さすがにケミコンは交換されていますが、マイカも含めると 相当数が製造時と同じではと思われます。
手馴れた修理から 相当の経験者と思いますが、ここまで古い部品を残すとは信じられません。


ACコードも昔のコードで見かけは良いのですが、ACコンセントに直接差し込む部分ですから交換しました。
よく見ると 被覆が破損していることがわかります。
ヒューズを経由した後なら ショートしても防げるのですが、このままでは危険です。


なお グリッドリークのコンデンサーは容量抜けでした、またグリッドリークの抵抗も断線でした。
抵抗は多少 値が高くなるがそのまま使えることが多いのですが、 1MΩ(以上)の高抵抗は 断線していることが多いです、要注意。
なおコンデンサーのリークで高抵抗の代用?をしていた感じはしますが、不安定なので駄目です。



修復後のシャーシ内部

修復したシャーシ内部です。
検波回路のB電源の配線が平滑抵抗から出た部分から供給されていましたが、
これは(上記の間違い部分)整流管のカソードから オリジナル回路のごとく引き出しました。
こうすることで少しでも出力電圧を上げようとしたようです。 なお ヒーターの配線はオリジナル回路のままでしたので、そのままにしました。
ただ 後日 これが悪かったのではと反省しています。 修復して 通電しても雑音がなんとなく多いのです。
古いコンデンサーを交換したので 送れれてきたときより解決はしているのですが・・・。



雑音が多いので 検波管を銀紙でシールドした、効果は薄い。



修復後の外観

なお製造時期は18年3月だった。



 


2台目の修復

実は 以前修復していたものです。
ただ バラスト管のB37が無く 形は良く似ているが別物が組み込まれています。
ヒラメントの長さが短いので 抵抗をさらに直列に入れたあります。
今回は 計算上100Ω(10W)を組み込みました。
(抵抗値を決めるのには試行錯誤で確認もしました)
これで各真空管のヒーター電圧は規定値になります。
ただ 真空管のヒーターの接続順位がオリジナルとは大きく違います。
接続順は標準型123号の接続順です。
この機械は戦時標準型の123号になります。
別項で説明したごとく 戦時標準型の真空管接続方法は望ましくないのです(管理人の私見です)。

そのため 回路図そのものは戦時標準型ですが、ヒーターの接続順は標準型としています。 戦時標準型方式だと真空管の配置順にヒーターが接続されているので、配線材料は節約できるのですが、
ヒーターとカソード間に思わぬ高電圧が加わるのです。

なお不思議なことに この機種(ヒーターの配線順を変更)の方が 原因不明の雑音が極端に低いのです。
勿論 1台目にも同じ真空管を交換して確認してみましたが、真空管による雑音の違いはありませんでした。
1台目は依頼主に返却済みで 今回のものは手持ち品です。
1台目に この変更をすべきであったと反省しています。
ラジオ工房記載も記事を再掲載します。

放送局型123号受信機の恐ろしいところ
「初歩のラジオ」誌の記事によれば、真空管のHとKの間に、下記の電圧が 加わっている。 
6D6や6ZP1等は、HK間は45Vが規格だが、12V管になってこんな凄い電 圧が加わって大丈夫なのでしょうか。 
資材不足時代に急に高耐圧の球ができたとは考え難いのだが。 
こんなところに故障が起こり易い原因がありそう。
  V1 R1 P1 K2
正規 117V 134V 168V 185/190V
戦時 116V 237V 220V 151/141V

 常識的にはPL  B37  V1  P1  R1の接続順が良いと思うのだが。 
なぜこのようなヒーター接続順になったかは理解できない。 
ただ部品配置上配線が最短で省資源が理由で、戦時型の結線が決まった????。 
昔は電解コンの故障が多かったが、交換すればこれは解決する。 
後は球の問題でしょうね。HとKの絶縁不良が発生すると、ごそごそと音がするようです、御注意。

なお123号を実用的に使う場合、ヒーターの接続を正規型または東芝方式にして、
8μFの電解コンデンサーも規格どおりの物を使う事をお勧めします。
抵抗を経由した6と4は大容量でもOK。







修復後の外観

内部の回路や部品は1台目と殆ど同じだが外観が異なる スピーカーが左側になっている。
製造時期は不明。
外装は一段とお粗末になっている。


放送局123号(戦時標準)回路図
大きな違いは無いが真空管ヒーターの接続順が異なる(改悪?)


放送局123号(正規型)回路図





2018年9月13日








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