パナソニック(ナショナル) クーガ 2200の不具合

時々接触不良のような症状があって音声が出なくなり、スイッチを上下させると治っていました。
突然、ブ〜ンという音がでて、電源が入らなくなりました。どうかすると時々通電するようですが音は出ません。 

早速通電してみたのですが 通電できません。
電源スイッチが怪しいと思い 確認すると スイッチレバーを操作しても導通が有りません。
この部分にジャンパーを張って 無理やり通電しました。

凄い雑音が聞こえます、音量VRは無関係な大きな音量です。
ところが ランプも レバーを操作しないのに点灯するのです、それも雑音に同期してランプが明滅します。



原因は 電源 ランプ BFOの3連スイッチの不具合でした。
ランプスイッチが 常時ON状態になっているのです。


ランプスイッチは押した時だけON になるように跳ね返りスイッチになっているのですが、
この動作がうまく働きません。
どうも 半田つけ跡から見て 分解した様子です。
BCLラジオ修理読本にスイッチの分解修理の様子が紹介されているので 真似したのでしょう。

この方法は一見素晴らしいようですが、組み立てが難しいので 元に戻せなくなります。
真似しない方が無難なのですが、どうしてもという方は注意深くやってください。
元に戻せ無くて今回のような不具合に遭遇することがあります。

3連スイッチの裏側(基板のパターン面)の画像は下図のようになっています。



もう一つの不具合は 社外品のスピーカーを組み込むために 基板が削られているのです。
アルニコ磁石のスピーカーの代わりに フェライト磁石のスピーカーに交換されています。
ほんの少しですが 磁石の寸法が大きいのです。



そのままでは組み込めないので、基板の一部が削られています。
削ったために パターンが無くなり ジャンパー線で配線されています、すごく器用です。
この部分に間違いが無ければよいのですが・・・。

   今回の基板
左右3mm位削られている。
   同じ機種の正常な基板


異常な音声(雑音)の原因は 調査の結果 出力ICの不良と判明しました。
ICの入力側をアースしても異常音は止まらない。
念のため DCで動作させ電流を測定すると 0.5Aも間欠的に流れるのです。
普通は0.05A以下ですから いかに酷いかが判ります。
これが原因とすると ランプが明滅する理由が良く理解できます。
AC電源で0.5Aも間欠的に電流が流れると とても正常な電圧に保てません。
電源電圧の変動で ランプが明滅してもおかしくありません。

とりあえず 下図のように出力ICの電源部を浮かせると 異常動作はやみました。
(画像はICの6番ピンの半田を吸い取った状態)

このICは入手出来ませんので 別の2200から移植するしか方法は有りません。
この故障の修理は非常に嫌らしいです。

若しかすると この異常発振でスピーカーが壊れ、それで交換したのかもしれません。
この機種のスピーカーの不良はめったに起きないのです。
それを交換するのは 何か原因が無ければ理解できません。



ところで このラジオのREC ジャックにクリスタルイヤホーンを接続してみるのですが、音声がほとんど聞こえません。
Sメーターは正常に動作しているので 音声が聞こえないとは 不思議です。
回路を順次追いかけて行くと 低周波増幅TRのB(ベース)回路と検波回路の接続に問題があることが判りました。
この部分はマーカースイッチを経由して接続されているはずなのに断線状態です。
どうもこの部分のスイッチにも不具合が有りそうです。
「電源3連スイッチ」と「マーカー関連3連スイッチ」に絡む部分です。

さらにマーカーも正常に動作していません。
125KHZ 500KHzともに駄目でした。
原因までは追及していませんが 出力波形から原因の推定がほぼ出来ました。



最終的に この2200の修理は 別の2200からICを抜き取る必要もあり、修復作業が多いので 2万円以上費用が掛かかりそうなので 相談の上 修理は諦めていただきました。
壊れた部分と 壊した部分が相乗効果になり 常識的な費用での修理が出来なくなっています。

ここまでの修理方法から推定して 経験豊富なベテラン・エンジニアの作業と推定します。
生半可な経験では ここまでの作業はできません。
工作は素晴らしいのですが・・・。
ただ2200は 複雑なので この機種は数をこなさないと 修理は難しい事があります。
ここまで難しいのは少なくとも 100台は2200の修理経験が無いと駄目でしょう。

壊さないうちに修理依頼をお願いします。

 
後日談(2013年9月4日)

念のため 電源関係3連スイッチ(電源 ランプ BFO)を分解してみました。
基板から取り外したところです。



分解して 内部構造が見えるようにしたところ。
スライド接点が変形しているのがよく解ります。
これがこのスイッチが正常に動作しなかった原因です。



この金属片が 接点の金属部分をスライドして切り替えます。
しかし 接点の間が開いて 変形しています。
これでは接点の役割を果たしません。



固定側の接点部分です。
分解して 清掃してあると思ったのですが、錆びだらけでした。
何のために 分解したのか大きな謎です。
画像は撮影角度の関係で ピンボケしている部分があります。



普通はこの部分を綺麗に磨いて 再度組み立てるはずなのですが・・。


このスイッチは完全に壊してありました、修理 不能です。


落下で壊れた2200(2015年11月19日)


1 外観…落下させた割れあり(裏面右側と電池室ふた部分)、ジャイロアンテナ不起立、FMAFC/BANDWIDTHレバーのゴムカバー紛失
2 受信…FMは受信可能(音声も正常)、MWは受信するも音がかすかにしか出ない、SWは受信しているかどうかもよくわからない
3 その他…ボリュームのガリがひどい、電池室液もれとロッドアンテナの修理歴あり(ずいぶん昔)


まずランプの修復

なんとメーター照明は切り取られています。
悪いことにランプホルダーまで捨てられていました。


丸い部分にランプが入ります。
これは単なるランプホルダーではなくて 光を拡散させる部品になっているのです。

しかたがないので別の2200から移植しました。



ランプを組み込んで メーター下に実装したところ。
ランプの光をメーターの下部も拡散する。




なお落下させた衝撃か ランプスイッチの基板に無理が加わり パターンが切れていました。
このためスイッチとして働かないのです。
ジャンパー線で結んで修理。




矢印の部分のパターンが切れていた。

ジャイロアンテナの不起立は 苦労の末 なんとか修復出来たのですが、組み立ててみると、FMの感度が悪いです。
調べてみると チューナーの不良と判明しました。
東京のような強電界では受信できるのですが 電波が弱いと受信できません。
この現象は経験上 進行性でだんだん感度が悪くなります。
2200では比較的良く起きる現象です。
10台か20台に1台位はこの現象が起きます。




なおついでにFM受信不良の別例

FM受信不良は別の理由でも発生します。

音質が多少悪い 感度が悪い しかし受信はできる状態でした。
しかし AFC ON OFF で受信周波数が大きく変わるのです。
検波コイルを調整してもこの状態は変わりません。
調べてみると検波コイルの片側断線でした、非常に珍しい故障です。
このコイルは下記画像の丸印の部分(電源ソケットの左側の位置)に相当します。
周りがシールド缶で囲まれていて 交換にはいやらしい位置にあります。
この修理は可能ですが 費用がかかるので諦めました。





2013年8月30日
2013年8月31日
2013年9月4日:310 後日談を追加。
2015年11月19日:2,146








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