ビクターFー224の修理

17EW8 12BE6 12BA6 12BA6 12AV6 30A5の6球 スーパー
FM受信機 創世記の作品です、もともと感度は良くありませんが 受信は出来るというレベルです。



Fー224回路図



何故か貼付の回路図が全くと言っていいほど読めないのです。 FM付きで複雑なので これでは大変です。
いろいろ探してみると 真空管ラジオデーターベースにFー10の回路図が有ることを見つけました。
しかし こちらもなにか薄くて読めません。
上記を参考に 探してみると昭和39年7月号の電波科学に紹介記事があることを発見しました。
この号には下記の解説記事(回路図付き)もあります。
三菱 6Pー375
日立 6球 F646型
松下 EF−650

ビクターFー10の回路図

現物を付きあわせてみると 2バンドと3バンドの違いはあるが基本回路は参考にできそうなことが判りました。 この回路図を参考にして 修理を試みました。



修理後のシャーシ内部です。 このラジオは以前修理したFー10と同じようにネオンランプが使われています。
整流管は無く シリコンダイオードが使われています。
しかし ネオンはFー10の時と同じく 黒くなって光るのが見えにくくなっていました。
手持ちの新品に交換しました。

真空管はTVー10でGM試験をしました、すべて問題ありません。

ケミコン・テスターで測定して漏洩電流が大丈夫なのを確認し 通電したのですが、なんとなく ハムが気になります。
シリコンダイオードの直後と100Ω経由後にそれぞれ47μFのケミコンを追加。
それまで使われていたケミコンはまとめて100Ω経由後の位置に接続しました。  なおFM検波と 30A5のカソードのケミコンも新品に交換しました。

ペーパーコンデンサーは意外と劣化は少ないです、でも殆どは交換しました。

ただ問題はFMの音の悪さです、調べてみると中間周波数が200KHz以上ずれていました、これを修正して終了。

最大の問題はある程度 音を大きくすると 凄く歪むのです。
バイアスの異常と睨み あちこち調べたのですが 異常ありません。
最終的に判明したのは意外な結末でした。 不良の原因はこの画像でした。
本件はラジオ工房掲示板に記載したのですが 皆さん興味は無さそうなので省略します。
と開催したのですが、津田さんにも指摘いただいたので テスターの画像を追加します。

不良の原因

出力管のガス電流でした。
試験器は当然ガステストができますが、殆どの場合 面倒なのでGM測定だけで 他はまず省略します。
今回は罰が当たった感じです。

G1を押して 電流が少ない部分でバイアスを設定




その状態で
G1 G2 の両方のボタンを同時に押して 電流が増えると駄目。






このラジオで厄介だったのは ケースへの収納でした。
前面パネルの下側化粧板が剥がれるは 固定したゴム足が腐ってベトベトになるなど元に戻すのに苦労しました。
結局 下側の固定ゴムは 跡形も無いので ゴムブッシュを利用してキャビネットに固定しました。
ケースに組み込むだけで 随分時間がかかりました。

 





その2(2017年5月24日)


キャビネットが壊れ、ツマミが3個しかないラジオです。
素人が修理を試みて、放置したラジオの残骸のようです。
全くのジャンク品と言ってよいでしょう、このようなものは引き受けるべきではないのですが、ここまで酷いとは思いませんでした。
シャーシの内部です。



ケミコンテスターで通電試験を試みましたが、漏洩電流が少し多いなと言う感触がありましたが、
それ以上に不思議なのは出力管のG2に電圧が微かにしか出ないのです、10Vくらい。
不思議に思い調べてみると上記画像のBの位置に平滑抵抗(1KΩ)が有りません。
これでは電圧が出ないはずです。
なお微少電圧が出ていたのはケミコンのユニット間リークが原因です。

抵抗を挿入するとともに ケミコンはすべて新品に交換しました。
またAの抵抗(100Ω 整流器の直後の平滑用)が焼けているのでこれも年のため交換した。

修理後のシャーシ内部の様子。

なおこの機種も出力管30A5のガス電流が多く、心配なので交換しました。
前回は明らかにノイズを確認しましたが、今回は短期間ですが正常でした。
それでもガス電流はこちらのほうが酷かった。

前回はガステストを最初しなくてトラブルに見舞われたので、今回は最初からガステストをまじめに行いました。


前回も同じ状況でしたが、シリコン整流でB電圧も高いので、あるいは消耗が激しいのかお知れません。



修理後のシャーシ上面 元ケミコンがあった位置に100μFのケミコンをいれ、その他はシャーシ内に。



キャビネットの補修

飾り板が外れています、上下とも外れているので 取り付けました。



さらにキャビネット内ですが、何故か取り付け台(脚)も2つしか残っていません。
これを前面に移動し、 シャーシの後ろ側は同じ厚さの樹の板を切り出して使いました。




電気的修理も大変ですが、キャビネットの修復も意外と大変です。
なおスピーカーも ネジが2本しか固定されていませんでした。






なおツマミが3個しかありませんので、よく似たものを探し組み込みました。

なおツマミはラジオごとに異なっているので、不足した場合は非常に苦労します。
ラジオを購入する時は充分注意してください。
取り外したツマミは下記画像の3倍くらいは手持ちがありますが、互換性のありそうなものは有りません。
ツマミぐらいと簡単に考えないように。

特にこの時代の軸が前面から出ていないタイプのツマミは探すのが大変です。




このラジオはFMも受信できます、ただしFM創世記のラジオです、最近のような高感度のFMラジオではありません。
真空管TVのアンテナのように、屋外にアンテナをはって受信する時代のラジオです。


ビクター Fー10の修理体験記

2016年3月4日
2016年3月6日:234
2017年5月24日:746





radiokobo-all



中津

真空管ラジオ