アメリカ製ST管スーパーKadette K-152?の修理 (ラジオ工房)
(international-150 151と同じ外観だが詳細不明)





真空管は6A7 6D6 6B7 43 25Z5です。
ネットで調べると この外観のラジオはinternational radio corp 150 や151と表示されるのですが、
真空管は6A8 6K7 6Q7 25A7G K52B(バラスト管)となっています。
http://www.radiomuseum.org/r/intern_rc_kadette_k_150_cameo.html
Kadette K-150 Cameo ともいわれるらしいのですが、使われている真空管が全く違うのです。
もしかして これか
http://www.radiomuseum.org/r/inter_raco_ad11.html

原科さんの指摘で どうもDタイプの回路図に近い接続と言うことが判明しました。
真空管のヒーターの接続順や使われているブロック型マイカが異なるのですが、非常に近い回路図です。







ACコードは片側が正規のマイナス(スイッチ経由6B7のヒーター)へ接続されていたが、
反対側の線はなんと6B7の2極管の片側のプレートに接続してあった。
ACコードを交換する時 適当にリード線に接続したものらしい。
これでは通電するはずが無い。
元々は抵抗線入りのトランスレス用ACコードが使われていたようだ。
パイロットランプ付の場合 140Ωで無の場合は160Ωらしい。
この機種にはランプが付けられて形跡が無いので、160Ωの抵抗いりコードが使われていたのだろう。











紙ケースに入れられた部品。
リード線が数本引き出されていて A331 MICAMOLDと書かれているが詳細は不明。
現物の回路から追いかけてゆくしかなさそう。




紙ケースの部品には2個ともA331と表示されている。
回路図に記入されているのは347と348なので この部分は違うようだ。



リード線は下記のように読むらしい(別のラジオの回路図集から)。

BLACK:− (左側ブロックではシャーシに接続されている 、B電圧の0点はVCのローター側=AC電源の0点、右側のブロックは異なる)
Dタイプ回路図のうちアース記号の部分はVCのローター側に接続されているが、現物はVCのローター側とシャーシとは絶縁されている。
(フローティングアース方式か?。)
RED:0.006μF
GREEN:0.05μF
YELLOW:0.05μF
BLUE:0.15μF


スピーカーの上面はケミコンが実装されている、8と16と言う数値は見えるが詳細不明。
もう1個の容量は消えて見えない、8の可能性がある。
リード線は4本引き出されている。
回路図で別の容量が記入されている。





ブロックケミコンのリード線は色が識別できなくなっているので、仮に番号を振り、回路から容量などを類推してゆくことにする。



配線の様子、ヒーターがどのように配線されているかをシャーシ上面より見た様子。
6B7のヒーターが最もマイナス側。
真空管のソケットは上面から見た様子です。
配線が見えないので テスターのオームレンジで測定して確認した。



左側のスナップ・スイッチがバンド切替用。
2回路のON OFFスイッチのようだが、部品の陰で詳細は不明。
普通のコイルに昔のNSBチューナーのように別のコイルを付加する仕掛けか?。

右側のスイッチのように見えるものは10kΩの可変抵抗で音質調整用と思われる。
このVRの左側はIFT。




このラジオに関し 原科さんや倉島さんから情報を頂きました。

回路については 原科さんのホームページの三田無線のスーパーが参考になります。
皆さんぜひご覧ください。
http://www5.ocn.ne.jp/~portable/home.files/book510.html


下記回路図で赤字の部分(例えば@)は仮にケミコンに書き込んだ数値です。
ケミコンの組み込み位置が明確になりましたので、次はヒータードロップ用の抵抗器100〜120Ωをどこに実装するかを検討することにします。
120Ω 25Wの抵抗器は手持ちがあるのですが、発熱が激しいので もう少し大きめの物にしたいと思います。
ケースが小さいので 放熱まで考えて組み込む必要があります。

「ブロック型マイカコンデンサー」はリード線の色分けが判別できなくなっているので、回路を特定して容量を決めてゆくしかないでしょう。

ブロック型ケミコンの代わりです。
側面にラグ端子を組み込み この部分にケミコンを組み込むことにしました。
ブロック型ケミコンの組み込まれた位置はヒータードロップ用の抵抗器を組み込むことにしたいと思います。




「マイカ モールド」
これはペーパーコンデンサーの集合体です。
リード線の色分けが判らなくなっています、接続場所と その場所で使われるべき容量で、代わりの部品を推定してゆきます。
回路図とは異なる使い方で 非常に悩ましいです。



なんとか半分は置き換えました、残りはもう1個のブロックです。



今日は反対側のモジュールを置き換えることにしました。
スイッチやVRなどを外さ無いとどこに接続されているか判りません。
いやはや面倒なことです。

ここでバンドスイッチは1回路2接点のスイッチであることが判りました。
どちらかのコイル(OSCコイル)のアース側をアースするかでバンド切替をする仕組みです。



ブロック型ペーパーコンデンサーです。
部品の陰になっているので、慎重に接続先を調べてゆきます。







ペーパーコンデンサーを全て交換したシャーシ内部の様子。



これからヒーターのドロップ抵抗110Ω 50Wを購入し、組み込めば通電できるところまで来ました。
後は通電して IFTなどの試験をやる予定。

秋葉原に抵抗を購入に出かけましたが、目的のものは有りませんでした。
ホウロウ抵抗なら販売しているのですが、大きすぎて組み込めません。
仕方なく 手持ちのYEC 25W 120Ωの抵抗を組み込みました。
発熱が凄いですが、焼けることはなさそうです。
下の画像は 通電中の画像。



ケミコンはラグ端子を組み込んで それで固定しました。



ところが 大問題発見です。
低周波部分は動作するのですが、高周波部分は無反応です。
IF信号(262KHz付近)を入れてみても無反応です。
通電していますので、電圧などを調べて見ると、検波管のグリッド回路の様子がおかしいです。
IFTの2次巻線の導通が有りません。
IFTは黒いケースに収まっています。



恐る恐るネジを外してみました。
どうもこの部分が同調コンデンサーになっているようです。



真鍮の円板などを除き コイルが見えるようになりました。
構造的にはコイルの中点がVRのホット端子に接続され、コイルの両端が
6B7の2つのプレートにそれぞれ接続される構造だと判明しました。
所謂 6B7の2つのプレートで両波整流し、コイルの中点が検波電圧の取り出し点になっているようです。

コイルは2つとも断線しています。
持ち込まれた時 ACコードが不自然に接続されていたリード線はもともとIFTの赤丸の部分に接続されていたと考えると理解できます。
IFTを分解して初めて取り出し口が開いていることを確認しました。



電源コードに無理に接続されていたリード線(赤丸の部分で無理に接続されている)。
下記はIFTを取りはずした後のシャーシ上部。




どうも困ったことになりました。
このような特殊なIFTが断線していると交換できないし、悩ましいです。
修理は 一旦 お休みにする予定。

別件があるので、1週間ほどお休みです。
それから対策を考えることにします。

IFTの修復

IFTのインダクタンスやQを測定してみました。
発振周波数を262KHzにして Qメーターのバリコンで同調させると、55PFで共振します。
円板型こコンデンサーは50〜60PFであることは確認済みなのでIFはこれで同調するようです。



どうも長年の使用でコイルの位置がずれているようです。
軸の色が変わった部分にコイルが組み込まれていたに違いありません。
どちらにしても1個しか使えませんので、軸を短くして ボビンに組み込むことにしました。





ボビンに固定した処、ホットボンドを利用しました。



コンデンサーと抵抗も組み込み IFTの外観も元通りに戻しました。
これで単同調のIFTが出来上がりました。




検波段のIFTは出来たのですが、6A7と6D6の部分がうまく働いていません。
オSCは微かに発振しているのですが、どうもカソード抵抗が断線しているようです。
ただどこに組み込まれているか 探すのに苦労しました。
1時間半 くらい にらめっこしてやっと見つけました。
配線をたどるのに VRなど部品を外さないと 配線が見えないのです。



白く囲った部分が抵抗でした。


白く囲った部分が今回交換した抵抗です。




外して 調べた結果 抵抗は 断線していたり、変化していて使えないことが判りました。
全数 交換することにしました。



下記画像が 交換したあとのものです。



動作試験中



何とか音が出るようになったのですが、また途切れて出なくなりました。
接触不良が 酷いようです。

様子を見ているとどうも理解できない働きをします。
6D6の様子が怪しいのです。
GMを測定してみると正常です、ガステストもOK。





ところが電極の短絡テストをしてみると、ネオンランプが点灯します。
この位置で点灯する時はグリッドとプレート管に導通(リーク)があるということです。
真空管を挿して 冷えているうちは大丈夫なのですが、温まるとリークしてきます。
これでは使えないので 新品と交換することにしました。



あれこれやっているうちにハムが急に酷くなってきました、音声も勿論 出ません。
これには困りました、解決2〜3日かかりました。
原因が判ってしまえば何だということですが、VRの外側と真空管のソケットの端子が接触していたのです。
見えない部分なので ここで接触しているとは夢にも思いませんでした。


VRを取りはずして 端子の部分が見えるようにした場合の画像です。



このラジオは不思議なことにどこからコードを引き入れていたのか痕跡が無いのです。
元々は抵抗線入りの3芯コードが使われていたはずなのですが・・。
実はヒューズもありません。
スナップスイッチが実質使われていない(動作していない)のでこの部分に短めのヒューズホルダーを組み込むことにしました。
またコードは雰囲気を出すために黒色の袋うちコードにしました。
勿論 先端はダルマ型のプラグです。








調整して 受信してみると 周波数の低い方が570KHz位からしか受信できません。
これでは不都合なので 150PFのマイカコンデンサーをパディングにパラに接続して540KHzから受信できるようにしました。




動作中の ラジオです。
スピーカーが劣化しているらしく 音が悪いです。
外つけにスピーカーを接続すると音が正常なので 、本来ならスピーカーを交換すべきでしょうが 寸法的に問題でそこまでは対応できませんでした。



動画








下記の回路図は参考用に記載したもので、現物とは異なります。
同じ回路は見つかりませんでした。



 ラジオの修理を自分でやる方は このホームページの他真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!、や真空管式スーパーラジオ徹底ガイドも参考にしてください。
不明な点はラジオ工房掲示板に実名で投稿ください、修理ノウハウの提供は無償です。
初歩的なことでも結構です、ただし他人が解るように書いてください(神様や占い師にするような経緯を省略した質問は返事不能です)。

当方に依頼される方はラジオ修理工房をご覧ください、こちらは有償です。
 



2013年2月3日

2013年2月9日
2013年2月20日:
2013年2月21日:340
2013年2月28日:358

2013年3月5日