整備済み・完動品 !! メーカー不明 オールド 立型 真空管 ラジオ

北海道 音更町の中村屋miueandnakamuraで買ったラジオが修理に来ました。
この方は http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/naze/auction2.html で注意喚起しているのですが、ついつい購入する人がいるようです。

今回の立型ラジオは一応正常に音が出ました。

ヒューズも5Aが使われているなど 電気屋として信じられない修理がされています。
もし本人がこの文章を見て 当方に間違いががあればどうぞご指摘ください。
正しく 訂正いたします。
    5段階評価   コメント
 1  ナショナル4D3  −マイナス  評価に値せず 小学生が大学受験に挑戦するようなもので無謀です。
 2  ヘルメス57  2  ペーパーコンデンサーのリーク無視は初心者以下
 3  今回のもの  1  この種改造品の修復は技術が必要です。
努力は認めますが 測定器も準備しないと無理です。
ヘルメスより修理に技術力が必要です。

なお良い評価(5とか )の例は杉並の「〇〇レトロ電器商会」をお勧めします。
このお店は修理も販売もしているようです。
下記の修理例はたまたま見落としが有り、当方に回ってきただけで 全体的に良い修理がされています。
http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/repair/national-AH-610-2.html

このラジオ 戦前の4ペンラジオを戦後すぐにスーパーに改造したラジオをベースにしたもののようです。
ただ そのままではありません。
バリコンが最大容量470PFのものに交換されています、これは昔は入手できなかったものです。
ここ20年以内に入手出来るようなったものです。
したがって中村屋さんで交換したものか あるいは 前の持ち主が比較的最近(ここ20年位)に修理を試みた残骸を中村屋さんが引き取って修復したかのどちらかでしょう。


ラジオ本体の前面

ラジオの前面

ダイアルは中村屋さんの自作のようですが 見事なものです。
電気工作はいい加減ですが キャビネットの工作と言い こちらの方は名人級です。



シャーシ内部の様子

古いコンデンサーの数は流石に少なくなっています。
ただ不思議な事に6D6のグリッドリターンに相当するIFTのF端子にコンデンサーしか接続されていません。
ただコンデンサーの劣化のおかげでリークが有り、それで正常に動作していたのです。 (正常なコンデンサーだけだと 動作しない、リークが有るコンデンサーゆえ動作した) なお 端子が 厳密には間違っていました。
グリッドの引きだし線をF側に接続 F側をG端子に接続してありました。
これはIFを分解して修正しておきました。

ただなぜこのような間違いが起きたのを推定すると 初段側のIFTはもしかしてBタイプかも知れません。
検波段のIFを分解してみた時 Aタイプが使われていたのです、
ただ双方とも別の種類のIFTなので 再度分解しないと解らないので ここで確認は止めました。

なお検波方式は6C6のカソードがアースしてあり グリッド検波に近い方法が使われているようでしたが、
あまり見かけない方法でした、詳細は未確認です。

これで不安定ながらも一応音が出るのですから 修理完了としたのでしょう。



シールドケースを外したところ



なお 真空管は
6WC5:良
6D6: 不良 TV-7の破棄値1000のところ250で エミ減酷い。
6C6: 良
42: 良
80: 良
でした、この骨董屋さんは真空管試験器も無いようです。
普通はこんな酷い6D6は使いません。

ただ電源コードを中村屋で交換したように書いてあります。
確かに 通電は出来、静かに使えば大丈夫ですが、製造後数十年を経たゴムが何時割れてもおかしくない状況です。 このような電源コードを固定するのに 裸線をコードに直接巻きつけて有るのです。
いつひび割れしてもおかしくないコードにこの処置は如何なものでしょう。
電気的知識を疑います。

更にヒューズを組み込んであるのは良いのですが なんと5Aです。
これもラジオに使うヒューズではありません、無知なのか 無責任なのか不明ですが 困ったものです。





上記の部分拡大
裸線でシャーシに固定してある 危険です、こんなことはやめましょう。


ヒューズは5A


ACコードとヒューズについては危険なので 最終的にこの図のようにしました、ヒューズホルダーも付けました。
中身は当然1Aです。

真空管は6WC5 6D6 6C6 42 80の5球スーパーに改造されています。
通電してみると 確かに受信します、音が出るのは間違いありません。
問題はNHK1(JOAK)が受信できないのです。TBSは大音量で受信できます。
同調がなんとなく変だなというのと 同調すると微妙にピーという音を伴うのです、どうも発振している感じです。
またバリコンの回転途中で雑音が出るのです、この場合 その付近では受信できません。 これでは常識的には完動品とは言えません。
ただ骨董屋さんは音が少しでもでれば 一般的に完動品と言いますので、
あながち出品者が嘘を付いているわけではないと思います、でも信じてはいけません。
さらに
念のため42のグリッドの電圧を測定してみました、電圧は出ません、この部分は合格です。

放送局によって音量が極端に違います。
これはAVC機能が働いていないためと思われます、調べてみると6C6で検波しているのでやむを得ません。


オークションの説明文を入手 (2015年11月21日)
出品者の説明文  
―― トラブル防止の為、最後までお読み下さい ―― 
 
  商品説明 ・・・   整備済み完動品、メーカー不明の入手当初から「既存のシャシーに 電源トランス・ソケットを含む各真空管・バリコン・アンテナコイル・2個の中間周波トランス ( 2個のアンテナコイルのシールドケース収められています )・等」細目な作業で5球スーパーラジオに構造変更されたオールドな立型真空管ラジオです (  当方に於きましては 商品に再度の命を与えるべく入手当初のままの状態でレストア復元 ( 電気的外科手術 ) を施し 商品の新たなる社会復帰を願って出品した次第です。 その様な事で、「オリジナル品を絶対追及し 他のラジオの共存を認めない」極一部の「器の小さい方」からは大批判を賜る商品かも知れませんが、当商品のオークション出品に対してご理解とご了承の程を宜しくお願い致します ・・ ) 同系色のオイル・ステンの塗布により 木目を生かした外装ケースの程度の方は、ダイアル文字盤のスチール枠の位置がズレていたので 修復済みとする等 年代経過による多少なりの使用感・修復感は有りましたが、同等な3個の代用ダイアル・ツマミや裏蓋 ( 程度良好 ) も有り 状態の良い機器と成っています。 使用真空管は 6WC5 / 6D6 / 6C6 / 42 / KX-80」のオールドなST 合計5本と成っていて、スピーカーも入手当初から「出力トランス付きマグネチックスピーカー」と成っています。 ダイアル操作の方は フロント部の左から「音量調整ボリューム / バリコン駆動用 / 電源スイッチ」と成っています。 なお、今回の主なレストア作業に付いては、「電解コンデンサー類がNGな状態だったので、これ等を取り外し 空きスペースにNEWな電解コンデンサー「22μF 450V ×3」を交換 / 23ヶ所のハンダ浮き・ハンダ外れが有ったので、これらを再ハンダ付けして状態復帰 / 全波整流管に「5Z3」が取り付けられていたので、状態の良い正規品「KX-80」を取り付け / ダイアル文字盤が状態の悪い自作品でたので、大きさ等が一致する他ラジオの文字盤をカラーコピーし 強度の有る透明なプラスチックシートに貼り付けジャストフィットに取り付け / バリコン等の各周動部にオイルメンテナンスの実施 / 等・等々」として完動品とした次第です。 シャシー内部もクリーニング済みとした 整備済み完動品、大音量なスピーカー音声を確認済みとした メーカー不明で5球スーパーラジオに構造変更されたオールドな立型真空管ラジオは如何でしょうか ・・・。 ちなみに大きさは 36cm / 高さ 47,5cm / 全奥行き 28cm、重量 凡そ 8Kg の少し大き目な立型ラジオと成っています。 ( 3枚目の写真は、本機ケースの内外部、そしてシャシーの内外部をチェック&クリーニング中に写したものと成っています。 ご了承下さい ・・ ) 
 
  商品発送 ・・・ 振込入金の確認後、当方指定の発送業者「佐川急便・送料無料元払い」として発送致します。
 
  落札代金のお支払 ・・・ 次回の取引メールで 当方指定の振込金融機関・等をお知らせ致します。
 
 
・・ 最後に、商品のご理解とご了承を頂ける方のみと取引をしたく
                           
神経質な方や「他貶自誉」な非難中傷 ( 自由な営業権の侵害・一般公開とした名誉棄損 ) を目的とする
 
極一部の方の質問と入札は固くお断り致します ・・


(2015年 11月 2日 18時 34分 追加)
今年 67才になる隠居暮らしの年寄りが、遊び心と愛着心を持ってレストア復元し 再度の社会復帰を願って出品致しました。 新たなる門出に向けて 御賛同頂けましたら幸いと思います。 なお、教育の不十分、そして我ままな所が有りましたら「再教育 ( 往復送料無料 ) や出戻り ( 送料無料・ご祝儀返金 )」の対応もしたく思います。
ラジオ工房の解説 このラジオは本来 58 57 2A5 80の4ペンラジオだったと思われます。
トランスを 大型のものに変え 5球スーパーに改造されています。
もともと素人が無茶苦茶に改造したものをそのまま修復した物のようです。
トランスは 昔電蓄に使われていたもののようでB電圧は350Vです。
大型の2KΩの抵抗で平滑し 250Vを得て 全体を動作させています。

素人が無茶苦茶に音が出るようにしたため 東京でTBSのみ大音量で受信できるが 他は満足に受信できません。
IFTの調整もされていないので この調整をするだけで 感度が大幅に向上しました。
このお店はオシレーターすら持っていないのでしょうか?。

なお受信が不安定な件は 後日判明しました。
原因はバリコンの接地が不安定だった為です。

ナショナルの4D3のように壊してあるラジオの修理は別にして 技術は多少ある感じはしますが、改造ラジオの修理までは無理です。
さらに安全性という面では相変わらず酷いです。

「他貶自誉」な非難中傷 ( 自由な営業権の侵害・一般公開とした名誉棄損 ) を目的とする」云々の表記がありますが、

この文章はもしかして 当方の記載を指しているのかもしれませんが 
真実を有りのまま書いてあるだけで 記載内容に間違いがあれば訂正します、ご指摘ください。


このラジオは骨董屋さんレベルでは完動品というのでしょうね。

なおスピーカーを「出力トランス付きマグネチックスピーカー」と言っていますが、これは明らかにダイナミックスピーカーです。
本人は 別の出品物で 所謂マグネチックスピーカーのことを馬蹄形スピーカーと表現していますので、知識があるのか無いのかよく判りません。


なお馬蹄形磁石を使ったスピーカーと言う表現は考えられますが、馬蹄形スピーカーはこの出品者の”造語”で、間違いです。


1958年版 ラジ科学 ラジオ・テレビ用語辞典から

本格的な5球スーパーに改造
改造品そのままの状態で修復する方法もありましたが、同じ手間を掛けるなら 新たな部品を追加してでも実用的なラジオにしたいと思い、
本格的な5球スーパーにすることにしました。


バリコンの最大容量は470PFです。
アンテナコイルは210μH ですが、スーパー用では?の部品です。

と言うのは同調コイルのマイナス側が 1次側のアース端子に接続されていて、
よく使われるコイル経由でのAVCが加えられない。 もしかしたら戦後すぐに発売されていた改造用コイルかも知れない。


このため 6WC5のG3にはコンデンサー(220PF これで高周波的に結合)と
100KΩの抵抗を利用してAVC電圧を加える方法に変更した。

オリジナル状態(AVC無し)

6WC5のG3にはコイルからのリード線が直接接続されている。
東京など首都圏のような電界強度に差がある場合 AVCを効かせないと快適な受信が出来ません。
6D6のみにAVCを加える方法もありますが、これでは充分効果が期待できないのです。 

改良後(AVC有り)


端子板を組み込み AVCの電圧は100K Ωの抵抗で、
バリコンからのリード線は220PFで直流分を切って高周波的に接続。
これで6WC5にもAVCが正常に加わります。


バリコン付属のトリマがありません、スーパーではこれは欠陥になります。
最大容量は470PFと云うことは日本製のラジオ用ではありません。
このバリコンとコイルのこの組み合わせだと同調範囲が広がりすぎて 不具合が出るかも。
同調範囲が下側の周波数に伸びて IFに近づくのです。

後で判明したのですが、トリマも壊されていました。
羽の部分が本体の金属部分から切り離されているのです。
修理完了後のシャーシ背面

ヒューズホルダーを組み込みました。








なお詳細は省きますが 最初に改造した方がジャンク部品をいい加減に組み合わせて作成したらしく IFTも検波用にA型が使われているなど無茶苦茶な部品が使われています。
細かなことを気にすると切りがないので 記述は省略します。
結果的にIFTは2個とも取り外して手を加えました、やれやれ。

 


ランプについて

通電してもランプが点灯しないのです、調べてみると豆球に+側は直接リード線が半田付けされています



豆球を外してみると なんとソケット代わりにメッキ線が巻きつけてあります。
このメッキ線と取付金具が接触する仕掛けです、でも取付金具は錆びています。
これでは安定的に通電するわけがありません。
いい加減というかやっつけ仕事です。



ソケットを組み込み アース線もトランスから引き出して 点灯させました。
細かな作業が無茶苦茶で いい加減な作業にあきれます。



実はこれ以上にアース関連の問題が判りました。

ダイアルを動かすと特定の場所で雑音が入り 受信できなくなるのです。
これはバリコンの羽根のショートと見込みを付け 配線を外して いろいろ試みましたが 解決しません。
最終的に原因が判明するまで2時間以上かかりました。

原因はなんとバリコンのアースの不良でした。
バリコンの固定にクリップの残骸を使うなど不思議だとは思っていたのですが、特定の位置でバリコンのアースが外れるようです。




バリコンのケース自体がアースから時々浮く現象を起こす。
原因の切り分けに苦労します。
本体とシャーシを結ぶ配線(青色の線)を追加して対策。

バリコンの取り付けは慎重に。



なおバリコンとコイルの規格が異なるので 悩んだが
@ 東京のどの放送局も最高感度で受信できるように
A バリコンの目盛にはこだわらない(規格が異なるので無理)

この方針で OSC側のバリコンに12PFを付加、
同調側のバリコンに15PFのトリマをいれて調整しました。
これで東京のJOAKから JORFまで正常(感度良く)に受信出来るようになりました。
ちなみに バリコンの容量が大きので 下の方は500KHz 近くまで原理的には受信できますが、
IFに近いのでトラブルがあるかも知れません。
上のほうは1600KHz付近まで受信できます。
スーパーの修理はただ安定して受信出来るだけでなく 調整も完全に済ませないと意味がありません。


修理完了
なんとか修理完了しました。

6WC5 6D6 6C6 42 80の5球スーパーでしたが、正規の6WC5 6D6 6ZDH3A 42 80に変更し AVCも正常に働くようにしました。
これで音量は ほぼ平均的に受信できます。
劣化した6D6も多少良い物に交換しました。

電源電圧は整流管の直後で350V 2KΩの抵抗をでたところで265V 、1KΩの抵抗をでたところで245Vでした。
42のプレートには265Vから供給、42のG2 などB電圧はすべて245Vから供給します。
ちなみに42のバイアスが15V 6WC5 6D6のG2電圧は95Vでした。

平滑回路が2段になっているので ハムは流石に低くなって 快適です。

このように 素人が無茶苦茶に修理したものは 後始末の修理が大変です、
特にアース周りがいい加減だとトラブルが散発的に発生するので泣かされます。



2015年11月23日






真空管ラジオ