ナショナル AS−450の修理


昭和26年頃発売された高周波増幅付スーパーです。

6D6 6WC5 6D6 6ZDH3A 42 80K 6E5の高周波増幅付スーパーです。
なおこの機種の回路図が2種類あります、今回のラジオは改良されたものらしく、整流管が80K(貼付の回路図では)になっています。
しかし現物は80が組み込まれていました。
状況からすると改良版の後期製と思われます。

下記画像は 送られてきた直後に撮影したものです。
よく見ると トランスが交換されています。
見事な作業ですが、ラジオ屋さんの作業なのか ヒーター配線が細いビニール線になっています。
この部分は大電流が流れるので 太い線で配線する必要があるのです。



この機種発売時の回路図



この機種に貼付されていた回路図
音質調整回路や整流管が異なるなど改良の跡が見て取れます。
またケミコンの容量が大きくなっています。
この当時としては非常に珍しい大きさと思います。

全体の動作確認のための仮 修復した時のシャーシ内部。

この機種はフイールドコイル付のスピーカーが使われています。
コイルは1000Ωです。
もともとの電源トランスのB電圧が不明ですが、交換されたものは250V 330Vの端子があります。
当方に 送られてきたときは330V端子の接続されていましたが、これではB電圧が高すぎるので250V端子を使うことにしました。

実験してみると整流後の電圧も280V近くあり、充分使えそうです。
それとA電流が規格を少しオーバーするのです、規格値は3Aですが、真空管で2.25A PLが6個で0.9A 合計3.15Aとなります。
6.3V配線も細いので さらに配線を追加しておきました。
B電圧の節約でトランスとしては許容範囲に入ると考えました。
なおケミコンは整流管の直後が22μF 平滑後は56μFのケミコンの手持ちがあったので使いました。


問題はダイアルの糸が全くない状態でしたので いろいろ工夫してかけてみました。
勿論バネの無くなっているので これも追加しておきました。
厳密にはこれが正解かは不明ですが、正常に動くので良しとしました。





整備してキャビネットに入れてみると、ダイアルツマミが回らないのです。
よく見ると ダイアルの穴が半分ふさがれて射ます。
表側のプラスチックの裏にブリキの金属板があるのですが、穴の位置が違うようです。

またダイアル面下部に紙が異常な雰囲気で残っています。



本体をキャビネットから抜き出した状態です。
裏側に金属板があり、どうも誰かが外して、再度組み込むときに上下逆さまに組み込んだらしいことが判りました・

右下に丸い切欠がありますが、これが左上の丸い部分(バンド切替スイッチの○印)に合致するのが本来の姿と判明しました。




まさかキャビネットまでいじってあるとは夢にも思いませんので、とんだ手間をかけてしまいました。
ついでに上記 紙の取り残し部分(白濁している部分)を洗剤で洗い 綺麗にしました。
下記画像は 紙の汚れを取り除いたものです。
オリジナルの状態は全面的に紙が貼ってあったのか あるいは後日誰かが付けたのかは不明です。




上記のように整備できましたが、同梱されていたツマミで右端のものが異様に前に飛び出しています。
なんとなく気分も悪いので 手持ちのツマミでよく似たものを探して組み込みました。
(下記画像)




修理完了したシャーシ内部。
なお平滑用仮抵抗は取り外してキャビネットに組み込みました。
ヒーター配線も余分に追加してあります。

トランスが焼けた理由ですが、配線材料がボロボロなので ランプ配線のショートで焼けたのかも知れません。
今回の修理では 危なさそうな配線はやり直しましたが、全数ではありませんので充分注意してご利用ください。







2018年2月16日
2018年2月19日: 077








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中津

真空管ラジオ