オランダ シェラ 製 SA−6055の修理
オランダ製のポータブルラジオです。
ラジオ技術 昭和29年3月号に回路図があります。
ただロータリースイッチの書き方が独自で バンド切り替え時の動きが読み取れません。
参考程度には役立ちますが。
お国柄か 分解するのに苦労しました、まるで箱根のからくり箱のようなつくりです、簡単には開きません。
壊すと 元に戻せなくなりますので 大変です、慎重に分解してゆきます。
ねじを無くすとこれも大変なので 要注意です。
シャーシを取り出すのが ここから大変でした、しばらく考えてやっと取り出せました。
ここまで分解するのに 半日近くかかりました。
シャーシが深く 部品の確認や交換は非常に厄介です。
見慣れない部品も多く 修理というより 回路の分析に多くの時間がかかりました。
2度と分解したくないラジオですね。
分解したところです。
20分後に音が小さくなる原因は不明のまま修理にいりました。
骨董市で購入後 日本で修理したそうですが、 部品を交換した形跡がありません。
フィラメント用のドロップ抵抗を 調整しただけの修理に思われます。
下記画像の 緑色の抵抗です。
スライド式になっていて これでフィラメントの電圧を調整する仕掛けです。
ただ ソリッド抵抗が抵抗値が 大幅に高くなっているのと 黒いコンデンサーが気になるので 交換しました。
コンデンサーは外して 確認しましたが 使える範囲と思いますが、念のため交換しました。
B電圧を測定してみると65Vくらいです。
45V電池を2個直列に使いますので これは低すぎます。
念のためトランスの電圧を測定すると100V入力で80Vです。
(本来の115Vの電圧で有れば92Vくらいあっても良いはずです。)
日本で使いますので 整流後90Vくらいの出力がほしいところです。
配線図はあるのですが 電圧の記載がないので 手探りです。
セレン整流器が使われています、この劣化と判断しました。
大きな円筒形の金属管に封入されています。
周りの部品を外して セレンを取り外そうとしたのですが 外せません。
シャーシが深いし、しっかり固定されているので セレンを外すことができません、別の場所に組み込むことにしました。
他の部品を外さないと 作業できませんので 作業性は極端に悪いです。
セレン整流器の代用品はこの位置に組み込みました。
トランスの横に空間が有ったのと ラグ端子を固定できるネジが有ったことによります。
ただ全体的に 部品の質は非常に良いです、修理を考える必要がないほどの部品の品質です。
製品寿命をはるかに超す時間経過後 利用しようとするのが間違いなのかも知れません。
全体的には下記の位置(○印)になります。
シリコンで整流すると95Vくらいになります。
出力管のプレートは90V 以下が望ましいし、バイアスや出力トランスでのドロップを考えると これでも大丈夫なのですが、
ブリッジの出力側に120Ωの抵抗を入れ 90V出力になるように調整しました。
この電圧で 出力管のフィラメント電圧が2.8Vになるようスライド抵抗を調整します。
修理後数時間動作試験しましたが 大丈夫のようです。
2016年12月10日
radiokobo-all
中津
真空管ラジオ