サンヨー真空管ラジオ SS−70の修理



サンヨーのラジオです、トランスレス用真空管を使い、マジックアイ6E5が組み込まれています。
マジックアイのヒーターとPLは電源トランスが組み込まれています。
さらについでに単巻きのステップアップトランスが使われていて130Vを整流してB電源としています。
時代的に12ZE8が発売されて無い時代なのかもしれません。

6E5なのでさすがに100Vでは暗いので電圧を少し上げた(130V)のでしょう。



通電しても無音ということで持ち込まれました。
修理は相当詳しい方がやったようで 配線に間違いはありません。
ただなんとなく違和感がありました、詳しい割にはラジオ技術者としての常識が足りない感じなのです。
予測は 最後にあたりましたが、困ったことです。

無音の原因は出力トランスの断線でした。
スピーカーに背負った形で組み込まれているので 交換は作業が大変でした。
ケミコンの漏洩電流を調べたのですが、少なかったので良しとしました。






マジックアイはほんの少しは光るが暗い。
ただ 蛍光面も比較的白く普通のラジオに使うと まだ実用的に使えるレベルです。
なぜ光らないかは B電圧が低すぎるからです。
250Vもかけてやれば 結構使えるとおもいます。
6E5はもともとトランス付のラジオ用に作られているので180Vから250Vくらいの電圧が必要です。
このラジオはトランスでステップアップしていてもせいぜい150Vくらいにしかなりません。
新しいうちはそれでも充分なのですが、古くなると駄目なのです。

そのためシリコンで独立の6E5用 B電源を作ることにしました。
これで180Vの電圧が得られました。
新品のマジックアイとの組み合わせで 結構明るいです。




暗さを回復する手段として 6E5専用電源を準備することとしました。
ラグ端子を組み込み シリコンと20V 22μFを組み込んで、35W4のプレートから配線します。
これで180VのB電源ができました。
新品のうちは低い電圧でも大丈夫ですが、時間の経過とともに暗くなりやすいので、
それを少しでも防止するためです。




調整

IFの調整をして ダイアルの目盛りあわせを使用としたら 594KHzのNHKがとんでもない位置で受信できます。
コイルを交換した形跡は無く 変だとは思ったのですが、コイルは固定式ですので、
とにかくパディングコンデンサーを交換することにしました。

実は LCメーターで 測定したのですが、異常はあまり無い感じでしたが、
とにかく無理にコンデンサーで調整しました。
440PFだったのを390PFくらいに置き換えて何とか下側はあわせました。

本当は この時VCにCRCをかけてあると疑うべきでした。
十数年前に同じ型名の機種で酷い目にあっているのを後日依頼者から指摘されました。


目盛りあわせの状態

 オリジナル状態  改造(390PF)
   


実はここまで裸の状態で調整してきた。
JOAKとJORFの受信位置をダイアル上に印をつけ、上記の図のごとくパディングコンデンサーを交換して調整した。
調整には秋月のLCメーターが役立った。

ここで バリコンの容量がおかしいのではとまでは思いつか無かった。
実は十数年前 全く同じ機種で悩まされていることをすっかり忘れていた。

http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/repair/ss-70.html

ケースに入れてみて目盛りの狂いに驚いた。
これは大変ということで また分解してみると 次のような状況だった。

最終結論

バリコンにCRCらしきものを噴射したらしい、全体的に光沢がある。
これは絶対 やってはいけない事です。



LCめーたーで測定してみると公証430PFのバリコンが458 501PFの変化しているではないか。
これでは目盛りが狂うのは当たり前だった。
BCLラジオでは時々あるので注意していたが 全く同じ機種でとは!!!。

 アンテナ側VCの最大容量  OSC側VCの最大容量
   


バリコンにCRCをかけると誘電率が高くなるのか 容量が大きくなるのです。
絶対やってはいけません。

取り外して 洗剤で洗えば多少解決するとは思いますが、糸かけまでやり直す必要があり、
とてもできません、このままご利用いただくことにしました。














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