シャープ SR-280Mの修理

昭和27〜28年頃に製造された ラジオです。
ダイアルがユニークで人気があるようです。

取り出してみると 汚れの酷さは別にして 配線の痛みが酷いです。
特にマジックアイの配線はボロボロです。
この時代のナショナルのラジオも同じ状態なので 同じメカ−の配線材料を使ったのかもしれません。


シャーシ内部

想像以上に混み合っています、標準的なスーパーに比べ 部品も気のせいか多いようです。 実は非常に困った事がわかりました。
ヒーター電圧は正常なのですが B巻線の電圧が出ません、断線しているようです。
トランスが断線している確率は非常に低いので、間違いないか何度も確認しましたが、断線に間違いありません。
念のため netで検索してみると この機種の修理体験記の記事が沢山出てきますが、電源トランスが交換されている例が異常に多いのです。
真空管ラジオは1,000台以上修理してきましたが 電源トランスを交換した例はほんの数えるほどです。
記憶にあるのは東芝のST管ラジオが2台あるだけです。
どうもこの機種に使われている電源トランスは 欠陥が有ったと考えたほうが良さそうです。
他の機種に比べ 明らかに電源トランスの不良が多いようです。
同じ電圧 電流規格で、更に同じ取り付け寸法のトランスを探す必要があります。
できれば ヒューズを背負っているのが良いのですが そちらは駄目でした。
ヒューズの取り付けを 工夫する必要があります。

できれば上部のカバー部分だけ残せないか検討したのですが、残念ながら寸法的には大丈夫なのですが、
電源リード線をコアと巻線の間の隙間を通すことが出来ませんんでした。
このため ヒューズへの配線が出来ず 諦めました。

シャープ 真空管ラジオ SRー280Mの回路図
虫食い状態ですが ケースの底面に回路図が貼られていました。

真空管の構成は 6WC5 6D6 6ZDH3A 42 80BK 6E5です。



ペーパーコンデンサー ブロック型ケミコン 電源トランスなどを外しました。
勿論ボロボロの配線も同様です。




トランスは ほぼ同じスーパーから移植することにしました。
ただヒューズホリダーはついていませんので 工夫する必要があります。






マジックアイ用の配線 少し動かすだけでボロボロになります。



 

ヒューズホルダーの組み込み トランスの 上にヒューズホルダーを背負っていましたので、トランスを交換した場合 ヒューズホルダーが必要になります。
電源ケーブルの引き込み込口をヤスリで広げて ここにヒューズホルダーを組み込むことにしました。
鉄板ですから 結構作業は大変でした。


ブロックケミコンも 駄目なので 代用品を作りました。
入力側 400V 15μFX2 出力側250V 100μFです。 



VRへの配線もボロボロなので 交換が必要です。
外さないと 取り出せません 、この状態でも駄目です。



前面のパネルまで外さないと駄目でした、結構な作業になりました。


マジックアイの配線には 悩まされました。
普通の回路に比べ 丁寧な回路で 1MΩのドロップ抵抗もシャーシ内に組み込む仕組みです。
新たに 端子板を組み込みここから配線することにしました。

配線図(上記に掲載)を見ながら配線をしました。
ところが 緑色が点灯しないのです、テスターで測ると プレートの電圧が出ていません。
1MΩの抵抗はよく断線しているので 今回も同じと思って 交換したのですが 駄目でした。
更に調査して 6E5を抜くと 電圧が出るので 断線ではありません。
ここで配線の間違いに気づきました。

回路図のピン配置図が間違っているのです、メーカーであれだけ販売したラジオの回路図のピン配置に間違いがあろうとは、うかつでした。
正常な配線に変更して 解決です。

正しい ピン配置はこちら。









上記のように組み込んだのですが グリルの汚れが気になり 再度分解しました。
1日がかりで 清掃しました、大変でした もうやりたくないです。

ダイアルの枠を固定しているネジが腐っていて 取り外すのに悪戦苦闘、ガラスを割らないように注意して 取り外します。
プラスチック 部分の黄ばみは簡単には落ちず、マジクリンに数時間浸した上 金属タワシで汚れを削ぎ落しました。




2015年7月17日
2015年7月20日







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中津

真空管ラジオ