徳永浩哉さんの1球スーパーラジオ

単球のスーパーは複合管を使ったものがネット上でもいくつか見かけますが、このラジオは5極管一本だけでスピーカーが鳴るもので
割とめずらしいのではないかと思っています。








5極管を1本のみ使い、スピーカが鳴るスーパーを作成してみました。
複合管を使った単球スーパーはネット上でもいくつか見かけますが、5極管1本のものは珍しいかもしれません。
元々、2年程前に作成したものですが、最近になってミクサー回路、検波回路等に手を加え、更に感度向上を目指してみました。

回路構成は、ダイオードミクサ(DBM)+IF増幅+低周波増幅+局部発振(レフレックス)となっていて球は高Gm管の6EJ7を使用しています。
他に高一のレフレックスも考えられますがスーパーにしたのは、発振対策がしやすい事や、感度を欲張り高Gm球が使えるのではないかと思ったためです。
最初は5極管コンバータに低周波増幅のレフレックスも実験してみましたが、スピーカーを鳴らそうとして電流を多めにするとコンバータ動作が不安定になり、うまくいきませんでした。
自励コンバータは局発がAB級動作になるので電力増幅とのレフは両立しないようです。
この回路でもスピーカーを鳴らすためにIpを10mA近く流していますが、そのままだと局発の振幅が大きくなりすぎ、波形の一部でプレート電流がカットオフ状態になってしまいます。
そこで振幅を抑えるために局発コイルのプレート側にダイオードを入れてみました。
これにより球全体としてA級動作のままで安定した局発が行えるようになりました。
周波数変換はゲルマダイオードによるDBM回路です。ここも最初はダイオード2本だったのですが、やはりDBMにしたほうが効率が良いようです。
IFT-2の一次側と局発コイルとの間に150Ωの抵抗が入れてありますが、これはIF増幅の中和に関係しています。
DBMの駆動用の局発成分をここから取り出してありますから、同時にIF成分の一部がIFT-1の巻線間容量を通ってグリッド側に帰還していて、この抵抗を変えると中和量が変化します。
もし発振気味ならこの抵抗を大きくすると良いようです。

検波回路は倍電圧にしてあります。
これは球から見たIFTのインピーダンスが下がるほうが発振しにくいだろうと考えたのと、検波後の音声信号に含まれるIFのリップル成分の周波数が2倍になるので、
ボリュームを上げた時の発振が抑えられるだろうと思ったためですが、実際にはあまり効果はなかったかもしれません。
またAVCはかけてありません。

部品については、電源トランス、出力トランスはNPO法人ラジオ少年さんより購入したものを使っています。
IFT-1、OSCコイルは100円ラジオから取り外したものを巻き直して使用してあります。
バーアンテナもラジオ少年さんより購入したのですが、それを使うとアンテナコイルの分布容量が大きくなり、
AM放送帯の上の方がカバーできませんでしたので、手持ちのジャンク品を使ってあります。
他の部品はほとんど手持ちのジャンク品で、スピーカーも手持ちの物をシャーシーに内蔵しました。

感度はバーアンテナのみで電波のあまり強くない当地でもまずまず実用的な音量で鳴ります。
普通の並3と同程度はあると思います。

 問題点としては、電波の強い局でボリュームを上げると発振気味になることですが、普通に聞くには十分な音量が出ますから、個人的には満足しています。
ただ電波の強い地方ではAVCを付けないと問題が生じるかもしれません。




2010年1月14日




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