港さんの トリオ JRー60 本格的な修復
1リストア前
オークションの落札品でかなりサビが酷く内部のダメージを心配しておりました。
出品者いわく入電後暫くすると本機のヒューズでなく家のブレーカーが落ちるとの
事でした。
2部品取り外しその1
本機入手後、通電せずサビの状態を確認(ソケット類も青サビが発生)
V4混合管(6BE6)のソケットの金具がサビで折れシャーシー内部に陥没の状態
即、分解決断
3部品取り外しその2
部品をすべて取り外しサビの除去を実施
メッキコスト削減で自分で実施(半日を要す)
4部品取り外しその3
シャーシー内部の様子
シューシーアースの為アースポイントのハンダ痕も綺麗に除去する
5クロームメッキ完了
最近は環境の影響でメッキ工場が随分少なくなりました。
北九州市のメッキ工場も知る限りでは3社で自宅より30キロ離れたメッキ工場に
持ち込み
作業依頼しました。(当方が洟垂れ小僧の時から有る工場)
メッキ厚みは数μで小さなキズは残るので出来るだけピカピカに磨いておくこと。
再メッキ品は
メインシャーシー、Qマルチサブシャーシー、バリコン取り付け板2枚、クリコン
取り付け板2枚
プーリー2枚、ガラス目盛板取り付けパネル(片面はメッキ後、黒艶消し塗装)目
盛取り付け金具
6電源トランスの絶縁テスト(アース―各端子間及び端子間)
耐電圧500Vにて約1000MΩ以上を確認
耐電圧1000Vにて約800MΩ以上を確認
7部品取り付けその1
サビの状態から各ボリュームはガリの可能性が高いのですべて交換
真空管ソケット全数(手持ちの関係タイトソケットを使用)
ペーパーコンデンサーは良否に関係なくフィルムコンデンサーに交換
抵抗器はオリジナルのL型でも良いのですが、この際P型に交換しました。
各ネジも可能な限りISOネジとしました。(メッキ前にISOタップにてサラ
ウ)
コイルパックも分解して接点の洗浄をしましたが、慣れないと還って悪くなる恐れ
が有ります。
久しぶりに分解しましたが、後で後悔しました。(正常に成るまでカット&トライ
で1日を要した)
8、9部品取り付けその2
シャーシー上面、局発、混合、高周波管はシールドケースを装着しました。
シャーシーのIFT近辺にはサビの後が点々と見られる(浸食がひどい、随分深い
サビの後)
今回は50Mのコンバーターは手を入れませんでした。(洗浄のみでオリジナルの
状態のまま)
10配線その1
配線に約3日かかりました。(うんざりしながらボチボチです)
不思議と暑くなるとハンダコテを握っているようです。
11ダイヤルガラス目盛板取り付け
再メッキしたメモリ板は前面側を予め黒の艶消し塗装をして置きます。
12プーリー糸かけ及びPL、メーター配線(保護ダイオード取り付けを忘れた)
13真空管挿入
TV-7D/Uで確認済の真空管を挿入しましたが、ソケットが固く6AQ8、1本
を空気管にしてしまいました。
14化粧パネルの取り付け
通電前にツマミ類も取り付け素早く通電。
ケミコンのB電圧をアナログテスターにて確認(メーターの動きが速いから確認し
易い)
規定値の±10%を確認 ひと安心
スピーカー等接続、BCバンドにて放送を受信
しばらく通電し異常がないことを目視、匂い等で監視
15調整
通電後異常が診られなかったので、(放送局がガンガンと入感していた)そのまま
エージングの為
シャックに居るときは通電し通算約30時間 のエイジングをしました。
JR−60は構造上、外ケースに挿入するとIFT、Qマルチ、BFO、50Mクリコ
ンの調整は出来ないので
裸の状態で調整することとなります。(ケース挿入後にコイルパックの単一調整のみ
です。)
調整後はしばらくは現状で使用することとし、ある程度慣れて再調整を実施し完了と
します。
16取り替え部品
取り替えの部品です。ネジ類はサビや汚れにて変色しているので可能な限り交換し
ました。(ISO)
真空管は6BE6−1本エミ減、 6AQ8−ヒーター断線 6AQ8−1本空気
管(自分が悪い)
真空管ソケットは青サビが発生していたので全数交換しました。
17、18 外箱に挿入
エイジング中に外ケースを洗浄、
洗浄後にケース内部に敷居の滑りテープを内部に貼りました。(JR−60は前面か
ら滑らせるように
本体を挿入する構造ですのでメッキ保護の為)
追伸
今回は、サビ等のダメージが酷かった為、コイルパックも分解洗浄しましたが、慣れ
ない作業は出来るだけしない方が良い。
再組み立てに1日を費やしくした。コイルパックの高さ調整、ねじれ、接点の引っ掛
かり等大変です。(後悔しました。)
洗浄の際は組み立てたままでの洗浄をお勧めいたします。(分解写真有り)
この作業が皆様のレストアの参考に成ればと思います。
2014年7月9日
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