三好さんの単球ラジオ




12Vで働くセットといえばスペースチャージグリッド管か、
真空管よりトランジスターに移行する頃に開発された球などがありますが、
私がラジオ少年になりたての頃、近所のラジオ屋さんが作ったセットで12ZP1を一本使った12Vで使える単球セットでした。
私も実際に聴かせて貰いましたが、その頃の人気番組であった“20の扉”がじつに明瞭に受話器から聴き取ることができました。
私の育った瀬戸内海沿岸は、港の随所に小さい貨物船(機帆船と称した)を持った船主がおり、
その地方の生産物や農作物を消費地へ運んでいました。
大きさは100トン足らずから数百トン位で原動機は殆ど焼玉エンジンを使い、出港から帰港までは数日以上かけての航海でした。
その船主の中に鉱石セットで天気予報やニュースを聴いていた人がいましたが零細船主には高価な電池式セットや、それに伴う維持費に出費をする余裕はありません。
そこでラジオ屋さんに相談した結果、船の設備である電池が12Vであることに目を付け、ヒーター、B共々12Vで働くことを前提とし、
12ZP1を使ったセットを完成させました。
瀬戸内海は四方を陸地に囲まれ、夫々の地区には放送局、中継局を含め、その頃でも沢山あり、
また停泊場所も海岸に面した場所なれば受信には不便を感じなかったようです。
今回、そのようなことを思い出し実際に作ってみました結果感度もよく充分実用になります。
12ZP1の他に12A6も同等に使えヒーターは交流でも差支えありません。
簡単な回路ですが60年後に思い出したラジオ少年駆け出し頃の一コマです。






2009年11月28日




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